かきくけこが言えない原因と練習法|何歳まで様子見でいい?【言語聴覚士が解説】
この記事の執筆・監修
STこん(言語聴覚士)
国家資格・言語聴覚士|小児専門25年以上|発音・ことばの遅れ・吃音の臨床を担当。「育て方の問題ではない」という視点と、ことばの理解力を大切にという思いで、保護者が安心して読める情報を発信しています。
「かきくけこ」が「たちつてと」に聞こえる、「かみ」が「たみ」になってしまう…お子さんの発音が気になっていませんか?
「いつになったら上手に言えるようになるの?」「このまま様子を見ていて大丈夫?」「小学生になっても直らなかったら…」そんな不安を感じているパパ・ママに向けて、現役言語聴覚士が年齢別の目安・家庭でできる練習法・相談のタイミングをまとめてお伝えします。

「カ行」の発音が言えるようになる年齢の目安
一般的に、「カ行」の音は3〜4歳ごろに習得されます。サ行(4〜5歳ごろ)・ラ行(4〜6歳ごろ)と比べると、カ行は比較的早めに習得される音です。
カ行は、舌の奥(舌根)を上顎の奥に当てて息を破裂させることで出す音です。舌の先ではなく奥を使うという感覚がまだつかめていない段階では、より使い慣れたタ行の音に置き換わりやすくなります。
ただし、発音の発達には個人差があります。5歳を過ぎても正確に発音できない場合は、一度言語聴覚士に相談してみることをおすすめします。発音の問題は、適切な時期に適切な指導を受ければ改善しますので、心配しすぎず対応していきましょう。

カ行はサ行(4〜5歳)・ラ行(4〜6歳)より早く習得できる音です。「もう4歳なのにカ行が言えない!」と焦らなくて大丈夫です。5歳を過ぎても改善が見られない場合は、専門家に相談してみてください。
💬 STこんの臨床メモ
3歳半のお子さんを連れて来院されたお母さんに「ずっと気になっていたのですが、そのうち治ると思って…」とおっしゃった言葉が印象に残っています。「5歳まで様子を見ながら、今の段階でできることを一緒に考えましょう」とお伝えすると、「相談していいんだ、と思えてほっとしました」と言っていただけました。発音の心配は、早めに専門家に話すだけでも気持ちが軽くなることが多いです。
「カ行」が言えない原因とその特徴
1. 「か行」が「た行」になる(かきくけこ→たちつてと)場合
お子さんが「か行」の音を「た行」に置き換えて発音することがあります。これは、舌の先に力が入りすぎているために起こる現象です。
- 「かめ」→「ため」
- 「とけい」→「とてい」
成長とともに自然に改善されることがほとんどですが、4歳を過ぎても改善が見られない場合は、発音訓練が必要になることがあります。
2. 「カ行」が母音のみに聞こえる場合
「カ行」の子音が省略され、母音のみが聞こえることがあります。
- 「かめ」→「あめ」
- 「とけい」→「とえい」
このような場合、喉の奥で発音している可能性があり、自然に治りにくいことがあります。4歳を過ぎた頃には言語聴覚士に相談することをお勧めします。
🔍 家で試せる聞き分けチェック
大人がわざと「からす」を「たらす」と言い間違えてみましょう。お子さんが「ちがうよ!からすだよ!」と気づけたら、「か」と「た」を耳で聞き分ける力は育っています。自分ではまだ言えなくても、聞き分けられていれば発音練習の土台はできているサインです。
何歳まで様子見でいい?年齢別チェックポイント
「いつまで様子を見ていいの?」は保護者の方が最も気になるポイントです。年齢ごとの判断の目安をお伝えします。
3歳ごろ——まだ様子見でOK
3歳ごろのか行の誤りは、正常発達の範囲内です。「かめ→ため」「かに→たに」のような置き換えが見られても、焦らず様子を見ましょう。この時期は練習させるよりも、ことばをたくさん聞かせてあげることが大切です。
4歳を過ぎたら——練習のきっかけを作る時期
4歳を過ぎてもか行がうまく言えない場合は、「舌の動かし方のくせ」が定着し始めているサインです。この時期からがらがらうがいや舌の感覚づくりを取り入れると効果的です。5歳になっても改善が見られない場合は、専門家への相談を検討しましょう。
5〜6歳(就学前)——専門家への相談タイミング
5歳を過ぎてもか行が正確に言えない場合は、言語聴覚士への相談をおすすめします。就学前のこの時期は構音訓練の効果が出やすく、多くのお子さんが3〜6ヶ月の訓練で改善します。「かきくけこが言えないまま小学校に入学させてしまっていいのか」と心配なら、保健センターや療育センターに電話してみてください。6歳(年長)の時点でも遅くありません。
小学生でも改善できる
小学生になってからでも、発音は改善できます。小学校には「ことばの教室(通級指導教室)」があり、専門の指導員による個別練習を無料で受けることができます。詳しくは以下の記事をご覧ください。

家庭でできる「カ行」の発音練習法
家庭での練習は専門家の指導のもとで進めるのが理想的ですが、まずは以下の取り組みから始めることができます。
舌の奥を持ち上げる練習
「カ行」の発音には、舌の奥の動きがとても重要です。以下の練習をしてみましょう。
- 口を開けて「あー」と声を出します。
- 1のままの口の形で「んー」と声を出します。
※この「んー」のときの舌の位置がカ行の/k/の位置となります! - 「んー」「んー」「んー」と続けて発音してみましょう。
- 3ができるようになったら、「んーあー」「んーあー」
- 「んあー」「んあー」、「んがー」
※徐々に「ん」を短くして、「あ」を「が」に変えていきます。
一気に①〜⑤を進めていくのはやめましょう。必ず、一つずつ進めて行きましょう。1つの段階を繰り返し行い、定着することが大切です。
「がらがらうがい」の練習(4ステップ)
うがいをするとき、舌の奥が持ち上がって上あごに触れます。これがカ行を発音するときの舌の動きとまったく同じです。4ステップで段階的に進めてください。ステップは必ず順番に、一段階ずつ確実に進めることが大切です。準備するもの:コップ・お水(飲み込んでも大丈夫なもの)
ステップ1:口に水を含んで溜める(上は向かない)
水を口に含んで、飲み込まずにすぐ吐き出します。慣れてきたら「まだだよ」と声かけしながら、10秒ほど溜めていられるよう練習しましょう。お風呂で水鉄砲のように勢いよく吐き出す遊びも楽しくておすすめです。
ステップ2:水を含んだまま上を向く
水を口に含んだまま、ゆっくり上を向きます。最初はむせることがあるので、上を向いたらすぐ吐き出してOKです。慣れてきたら少しずつ時間を延ばしていきます。必ず大人が見守りながら行ってください。
ステップ3:上を向いたまま「あーー」と声を出す
水を含んで上を向いた状態で「あーーー」とまねっこして声を出してもらいます。奥舌が上がった状態で発声すると、自然にがらがら音が出ます。コツをつかむまで時間がかかることもありますが、楽しい雰囲気で続けてください。
ステップ4:水なしでがらがら音を出す
「お水を入れるよ」と声かけしながら、実際には水を入れません。それでもがらがら音が出せれば、カ行の構えが体に入った証拠です。この「うがいの構え」がそのまま「か行の構え」になります。


お風呂でやると、むせても笑って済ませられるし、濡れても問題なし。失敗しても許容できる環境が、子どもがリラックスして取り組むコツです。また、毎日の帰宅時のうがいで少しずつ練習することで、積み重ねで上手になっていきます。
💬 STこんの臨床メモ
5歳になったばかりの女の子が来てくれたとき、「幼稚園でしゃべるのがはずかしいって言うんです」とお母さんが話してくれました。一緒に練習ステップをやってみて、おうちではがらがらうがいを毎日続けてもらうようにお願いしました。2週間後に再度会ったとき、「かきくけこ」がほぼ発音できるようになっていました。もちろん個人差はありますが、土台ができているお子さんは「きっかけ」ひとつで変わることがあります。


言語聴覚士への相談のタイミング
以下に当てはまる場合は、言語聴覚士などの専門家に相談することをおすすめします。
- 4歳を過ぎてもカ行がタ行や母音のみに置き換わっている
- 5歳を過ぎても「カ行」の発音に改善が見られない
- お子さん自身が発音を気にしている、またはからかわれている
- 就学前(6歳まで)に改善しておきたい
- カ行以外の音でも発音が気になるものがある
発音の問題は、適切な時期に適切な方法でサポートすることで改善が期待できます。できれば就学前の幼児期のうちに改善できると理想的です。
言語聴覚士に相談するには
- お住まいの地域の保健センターに「発音が気になるので相談したい」と電話してみましょう。保健師さんが言語聴覚士の相談日や専門機関を紹介してくれます
- 療育センター・発達支援センターに「発音が気になるので相談したい」と連絡してみましょう。言語聴覚士が常駐していることが多いです
- かかりつけの小児科医に発音について相談すると、適切な相談先を紹介してもらえます
- お住まいの都道府県の言語聴覚士協会に問い合わせると、地域の相談先を教えてもらえます(例:「千葉県 言語聴覚士協会」と検索してみてください)

お子さん自身が「うまく言えない」「からかわれた」と気にしている場合は、なるべく早く相談に行ってください。専門家に相談することで「今すぐ練習が必要」「もう少し様子見でいい」など具体的な方針がわかり、親御さんも気持ちが楽になることが多いです。
STこんへのご相談
ことばのことを専門家に聞いてみませんか?
療育センターで25年以上、ことばの発達に関わってきた現役の言語聴覚士です。
無料相談を受け付けています(月4件・先着順)。
どうぞお気軽にお申し込みください。
よくある質問|か行の発音Q&A
か行が言えないのは発達障害のサインですか?
か行だけがうまく言えない場合、その多くは「機能性構音障害」と呼ばれるもので、発達障害とは別のものです。耳の聞こえや口の構造、発達全体に問題がなくても起こります。ことばの理解ややりとりなど、他の発達面で気になることがなければ、か行の誤りだけで発達障害を心配する必要はないことがほとんどです。他にも気になるサインがある場合は、保健センターや専門家に確認してみてください。
大人になってもか行が言えないのですが、今からでも治りますか?
大人になってからでも、構音訓練による改善は期待できます。発音は練習で身につく技能なので、年齢を理由にあきらめる必要はありません。成人の場合は、言語聴覚士が在籍する耳鼻咽喉科やリハビリテーション科のある病院に相談してみてください。
か行の練習は何歳から始められますか?
か行の音は4〜5歳ごろまでに完成することが多く、本格的な構音訓練は4歳半〜5歳ごろから始めるのが一般的です(個人差があります)。それより小さいお子さんには、「言わせる練習」よりも、うがいや吹く遊びなどでお口の力の土台づくりをしてあげるのがおすすめです。
4歳でかきくけこが言えないのは様子見でいいですか?
4歳を過ぎてもか行が言えない場合、舌の動かし方のくせが定着しつつあるサインです。「がらがらうがい」などの感覚づくりを始めながら、5歳になっても改善が見られなければ専門家への相談を検討しましょう。焦らず、でも意識して取り組むのが大切です。
6歳・就学前でもかきくけこが言えません。どうすればいいですか?
就学前(6歳)でも十分に間に合います。言語聴覚士による構音訓練は就学前が最も効果的な時期のひとつです。保健センターや療育センターに「発音が気になる」と相談してみてください。小学生になってからでも改善は可能ですが、就学前に動き始めると余裕を持って対応できます。
まとめ
- 「カ行」は3〜4歳で習得される音。タ行への置き換えや母音化が起こることがある
- 3歳ごろは様子見OK。4歳を過ぎたら練習のきっかけを、5〜6歳では専門家への相談を検討
- 家庭では「舌の奥を持ち上げる練習」「がらがらうがい」が効果的
- 4〜5歳以降も改善が見られないときは、保健センターや療育センターに相談を
- 小学生でも発音は改善できる。ことばの教室(通級指導)も活用できる
- できれば就学前(幼児期)のうちに改善させてあげるのが理想的
お子さんの発音に関するお悩みがある方は、ぜひ言語聴覚士に相談してください。特にお子さん自身が発音を気にしている場合は、なるべく早く相談に行ってくださいね。「ことばの教室に行くべきか迷っている」という方は、STこんの無料相談もお気軽にご利用ください。
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Q. 「きとけが言えない」のはなぜですか?
「き」「け」が言えず「ち」「て」になるのは、か行の発音に必要な「舌の奥を持ち上げる動き」がまだ未熟なためです。「かきくけこ」がまとめて「たちつてと」に置き換わる現象の一部で、原因と対処法は同じです。4歳を過ぎても続く場合は言語聴覚士への相談をおすすめします。
Q. 子どもが構音障害になる原因とは何ですか?
子どもの構音障害(発音の誤り)の多くは、舌・唇・あごの動きの発達途上によるもので、「機能性構音障害」と呼ばれます。特定の病気や障害がなくても起こり、適切な練習で改善できることがほとんどです。まれに口蓋裂・舌小帯短縮症・難聴などが原因になることもありますが、その場合は医療的な対応が優先されます。まずは言語聴覚士に相談し、原因を評価してもらうのが最初のステップです。

