二語文が出ない・遅い子への関わり方|家庭でできる働きかけを言語聴覚士が解説
「単語は出てきたのに、2つのことばがなかなかつながらない…」
「パン」「ちょうだい」はそれぞれ言えるのに、「パン ちょうだい」とつながらない。そんなお子さんに、毎日どう関わればいいか迷っていませんか?
二語文が出るかどうかは、タイミングを待つだけでなく、日常の関わり方でぐっと近づけることができます。
この記事では、言語聴覚士の視点から、家庭でできる具体的な働きかけをご紹介します。

単語は出てきたのに、なかなか2つのことばがつながらなくて心配です。何かできることはありますか?

日常の声かけを少し工夫するだけで、二語文はぐっと出やすくなりますよ。今日からできる方法をお伝えします。
言語聴覚士歴25年以上|STこん
この記事はこんな方に読んでほしい
・単語は出ているのに、2語文がなかなかつながらないと感じている
・二語文を引き出すために、家庭でできることを探している
・ことばの発達が少し気になりはじめた
二語文が出る前に確認しておきたいこと
単語(一語文)はどのくらい出ていますか?
一般的に、単語が50語前後出てくると二語文が出始めると言われています。まだ単語が10〜20語程度の場合は、まず単語数を増やすことが先決です。
「ことばが出ない・少ない」と感じている場合は、まず年齢別の目安も確認してみてください。

理解力はどのくらいですか?
「○○持ってきて」「△△に置いて」といった2つの情報を含む指示が通るかどうかが目安です。理解が先に育つことで、表現(話すこと)も後からついてきます。
まだ1つの指示でも難しい場合は、まず理解力を育てることから始めましょう。

「まず単語を増やして、それから二語文へ」という順番はとても大切です。焦って二語文を促すより、単語がしっかり出てきてからのほうが、ことばの発達はスムーズに進みますよ。
二語文を引き出す、家庭でできる働きかけ方
① エクスパンション(拡張)で声かけをしよう
「エクスパンション(拡張)」は、子どもが言ったことばに1語足して2語文にして返す方法です。インリアルアプローチという、ことばの発達を支援する関わり方の代表的なテクニックです。
例えば、こんな声かけです。
・子どもが「わんわん」と言ったら→「わんわん、いるね」
・子どもが「ねんね」と言ったら→「ぬいぐるみ、ねんね」
・子どもが「バス」と言ったら→「バス、きたね」
ポイントは「言い直しをさせない」こと。「もう一度言って」「ちゃんと言って」と求めるのではなく、大人が2語文でそっと返すだけで十分です。毎日の積み重ねで、子どもは「ことばは2つセットで言う」ということを自然に学んでいきます。

エクスパンションは「言い直しをさせる」のではなく「モデルをそっと見せる」関わりです。子どもが「バス!」と言ったときに「バス、じゃなくて、バス きたね、でしょ!」は逆効果。「そうだね、バス きたね」と自然に返すだけでOKです。
インリアルアプローチの他のテクニックについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

② 要求の場面で2語文のマネを促そう
子どもが何かを欲しがる「要求の場面」は、2語文を練習する絶好のタイミングです。「○○ちょうだい」「○○やって」など、よく使う要求のことばで自然に2語文のマネができます。
例えば、子どもがお菓子を指さして「クッキー!」と言ったとき、すぐに渡さずに「クッキー ちょうだい、だね」と2語文のモデルを見せてから渡すようにします。
うまく言えなくて「クッキー」だけでも、「そう!クッキー ちょうだいだね」とフィードバックしてあげましょう。「言えるまで渡さない」ではなく、チャレンジしたことを認める姿勢が大切です。
使いやすい2語文の例:
・○○ちょうだい
・○○やって
・○○みて
・○○いや
・○○たのしい

要求の場面は子どもの「言いたい!」という気持ちが一番強い瞬間。「言えたら渡す」ではなく「言おうとしたら渡す」という姿勢で、ことばを使うことへの意欲を育てましょう。
③ 動詞つき2択で、2語文が出やすい場面を作ろう
「りんごとバナナ、どっちにする?」と聞くと、「バナナ」と単語で返ってきます。そこで、両方の選択肢に動詞をつけた2択にするのがポイントです。選んで答えること自体が、2語文の練習になります。
・「バナナ食べる?りんご食べる?」→「バナナ食べる!」
・「滑り台する?ブランコする?」→「滑り台する!」
・「パパに渡す?ママに渡す?」→「パパに渡す!」
・「電車遊ぶ?ブロック遊ぶ?」→「電車遊ぶ!」
同じ動詞が両方の選択肢についているので、子どもは「名詞+動詞」のセットごと選んで答えることになります。子ども自身が「選ぶ」という動作を通じて、自然に2語文を使う体験を積み重ねることができます。

「正解を求める質問」ではなく「どちらでも正解」の2択なので、子どもがプレッシャーを感じずに答えられます。毎日の生活の中で、着替えるとき・食事のとき・遊ぶときなど、場面を選ばず使えますよ。
理解力を育てると、二語文も出やすくなります
二語文を「話す」ためには、まず2つのことばを組み合わせて「理解する力」が育っている必要があります。表現より理解が先に育つのがことばの発達の自然な流れです。
日常の中で「○○してから、○○するよ」という連鎖指示を意識して使ってみましょう。
・「手を洗ったら、おやつ食べるよ」
・「靴を履いたら、お外に行くよ」
・「おもちゃ片づけてから、絵本読もうね」
2つの情報をセットで理解できるようになると、ことばも自然と2語文につながりやすくなります。毎日のルーティンの中で、声かけとして取り入れてみてください。
焦らず続けるために——こんな関わりは避けましょう
早く2語文を引き出したくて、「言って!」「ちゃんと言って!」と繰り返してしまうことがあります。でも、それはかえって逆効果です。プレッシャーをかけるほど、子どもはことばを使いたくなくなってしまいます。
避けてほしい関わりの例:
・「もう一度言って」と何度も繰り返す
・「言えたら○○してあげる」と条件にする
・「なんで言えないの?」と責める
大切なのは、ことばを使うのは楽しい!という気持ちを育てることです。うまく言えなくても、チャレンジしたこと自体を認めて、楽しい場面を増やしていきましょう。今日の関わりが、必ず明日のことばにつながっています。

25年以上の経験の中で、「言えるまで言わせ続けた」より「楽しく関わり続けた」ご家族のお子さんのほうが、結果的にことばが伸びているケースをたくさん見てきました。焦らず、一緒に楽しむことが一番の支援です。
まとめ
二語文を引き出すために、家庭でできる働きかけをご紹介しました。
・単語が50語前後出てから、二語文を促すのが自然な流れ
・エクスパンションで、子どもの発言に1語足して返そう
・要求の場面で「○○ちょうだい」「○○やって」のマネを促そう
・動詞つき2択で、答えが自然に2語文になる場面を作ろう
・理解力を育てることが、表現の土台になる
大切なのは「言えるまで言わせる」ではなく「楽しくことばを使う場面を増やす」こと。今日からぜひ試してみてください。

うちの子はいつ二語文が出るの?」という不安は、多くのご家族が感じています。でも、日々の関わりの中に、ことばが育つヒントがたくさんあります。焦らず、楽しみながら続けてみてくださいね。


よくある質問(Q&A)
Q1. 二語文はだいたい何歳ごろ出ますか?
一般的に1歳半〜2歳ごろに出始めることが多いですが、個人差があります。2歳を過ぎても二語文がまったく出ない場合は、一度専門家に相談することをおすすめします。
Q2. 単語がまだ少ない場合はどうすればいいですか?
二語文の前に、まず単語(一語文)を増やすことが大切です。単語が50語程度出てくると二語文が出始めると言われています。年齢ごとの目安は「2歳でことばが出ない」「3歳でことばが遅い」の記事も参考にしてみてください。
Q3. きょうだいがいると、二語文が出にくいと聞きました。本当ですか?
きょうだいが代わりに話してしまうことで、ことばを使う機会が減ることはあります。基本的な関わり方はこの記事と同じで大丈夫ですが、その子と1対1で向き合う時間を少しでも作ることが大切です。

