子どものことばの発達チェックリスト【1歳〜5歳】年齢別の目安を現役言語聴覚士が解説
この記事の執筆・監修
STこん(言語聴覚士)
国家資格・言語聴覚士|小児専門25年以上|発音・ことばの遅れ・吃音の臨床を担当。「育て方の問題ではない」という視点と、ことばの理解力を大切にという思いで、保護者が安心して読める情報を発信しています。
「うちの子のことば、遅いのかな?」「同じ年齢の子と比べると、少ない気がする…」
そんな不安を感じながらこのページを開いてくださったあなたへ。まず一つだけお伝えしたいことがあります。
「ことばが少ない」という心配は、育て方の問題ではありません。毎日一緒にいて、一番近くでお子さんを見ているからこそ気づく感覚——その「なんとなく気になる」という直感は、大切にしてください。
この記事では、言語聴覚士として25年以上、療育センターで働いてきた私が、1歳〜5歳の年齢別に「ことばの発達の目安」をチェックリスト形式でお伝えします。
チェックのポイントは「しゃべる量」ではなく「理解しているか」です。その理由を最初に説明するので、ぜひ読んでからチェックリストを使ってみてください。
チェックの前に知ってほしい「1つのこと」
保護者の方から「うちの子はことばが少ないのですが」と相談を受けると、私が必ず最初に確認するのが「大人の言っていることはどのくらい分かりますか?」という質問です。
理由はシンプルです。話す力より、理解する力の方が先に育つから。
「ことばを理解する力(理解力)」がしっかり育っていれば、発語はあとからついてくることがほとんどです。逆に、いくら単語が増えても、「○○はどれ?」で指差せない・指示に従えないなど理解力が育っていない場合は、早めに専門家に相談した方がいいサインです。

「ことばが少ない」と相談に来るお子さんでも、「ちょっと待ってね」「持ってきて」「あっちに置いて」など大人の言っていることをよく理解しているお子さんは、ことばが出てくるのも比較的スムーズなことが多いです。発語の数より、まず「どれくらい理解できているか」を確認してみてください。
以下のチェックリストでは、各年齢を「ことばの理解」「発語」「コミュニケーション」の3つに分けて確認できるようにしています。特に「ことばの理解」の項目がどうかを意識してみてください。
1歳のことばの発達チェックリスト
1歳は「初めてのことば(初語)」が出るかどうかが目安になる時期です。ただし初語が出る時期には大きな個人差があります。1歳0ヶ月で出る子もいれば、1歳6ヶ月ごろに出る子もいます。
ことばの理解
- 名前を呼ばれると振り向く
- 「ちょうだい」と手を差し出すと、持っているものを渡せる
- 「バイバイ」と言われると手を振る
- 「ダメ」「いや」などの禁止ことばを理解している
発語
- 「ママ」「パパ」「まんま」など、意味のあることばが1つ以上出る
コミュニケーション
- 指さしをする(「あれ!」という感じで指を向ける)
- 大人の表情や声のトーンに反応する
- 大人と目が合ったとき、笑いかけたり反応したりする
🔍 家で試せる理解力チェック
お皿を持たずに「ごはんだよ」と声をかけてみましょう。お子さんが「??」という反応なら、次にお皿を持ちながら同じことを言って反応を比べてみてください。ことばそのものを理解しているか・状況で判断しているかの違いが分かります。
⚠️ 以下に当てはまる場合は相談を検討してください
- 1歳6ヶ月になってもことばがまだ出ていない
- 名前を呼んでも振り向かないことが多い
- 指さしがまったく出ていない
- 「バイバイ」など模倣(まねっこ)がほとんどない

1歳でことばがまだ出ていなくても、「指さし」がしっかり出ていれば心配しすぎなくて大丈夫なことが多いです。指さしは「あれ見て!」「あれが欲しい!」という気持ちをことばの代わりに伝えているもの。伝えたい気持ちが育っている証拠です。指さしが出ていれば、ことばの発達は順調に進んでいることがほとんどです。
1歳でことばがまだ出ていなくて心配な方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

1歳半(1歳6ヶ月)のことばの発達チェックリスト
1歳6ヶ月健診では、ことばの発達について確認されることが多い時期です。「有意語が出ているか」「指さしができるか」が主なチェックポイントです。
ことばの理解
- 「ワンワンどこ?」と聞かれると、犬の絵や本物を指差せる
- 「ポイして」「持ってきて」などの1ステップの指示に従える
- 簡単なことばの意味(食べ物・動物・乗り物など)が分かりはじめている
発語
- 「ママ」「ワンワン」「まんま」など、意味のあることばが5語以上出る
コミュニケーション
- 「これ何?」と聞くように指さしする(疑問の指さし)
- 大人のすることをまねしようとする(電話のまね、お人形のお世話など)
- ことばや身振りで「あれ!」「これ!」と伝えようとする
🔍 家で試せる理解力チェック
絵本を開いて「ワンワンどこ?」と聞いてみましょう。指差せるかどうかがことばを聞いて理解する力の目安になります。「ポイして」など1ステップの指示が通るかも確認してみてください。
⚠️ 以下に当てはまる場合は相談を検討してください
- 有意語(意味のあることば)がまだ出ていない
- 指さしがほとんど出ていない
- 「ちょうだい」「持ってきて」などの簡単な指示が通らない

1歳半健診で「ことばが少ない」と言われた場合でも、指さしや身振りで「あれ!」「これ!」と伝えようとしているお子さんは、ことばの発達が促されやすい状態にあります。伝えようとする意欲があるかどうかが、この時期の一番大切なポイントです。
1歳半健診でことばの遅れを指摘された方はこちらも参考にしてください。
→ 1歳半健診でことばが遅いと言われた後どうする?相談先・次のステップを言語聴覚士が解説

2歳のことばの発達チェックリスト
2歳は「ことばの爆発期」と呼ばれる時期です。語彙が急激に増え、2語文(「ワンワン きた」「まんま ちょうだい」など)が出てくる大切な時期です。
ことばの理解
- 「ママのくつはどれ?」「赤いボールはどれ?」など、2語文の指示を理解できる
- 「○○持ってきて」などの1ステップの指示に従える
- 「手を洗ってご飯にしよう」など2つのことが続けてわかる(2ステップ指示)
- 日常のルーティン(お風呂・ごはん・お外)の流れがわかっている
発語
- 「ワンワン きた」「まんま ちょうだい」など、2語文で話す
- 使えることばが50語以上ある
- 絵本の中の絵を見て名前を言える(犬、猫、車など)
- 「ない」「もっと」「いや」など気持ちを表すことばが出る
コミュニケーション
- 「ちょうだい」「どうぞ」のやりとりができる
- 楽しいことや面白いことを、目を合わせて共有しようとする
- 簡単な質問(「これ何?」)に答えようとする
🔍 家で試せる理解力チェック
「○○はどれ?」と絵本を使って聞いてみましょう。次に「手を洗ってご飯にしよう」と、2つのことを続けて伝えてみてください。両方できるなら、理解力は年齢相当に育っています。発語が少なくても、この2つができていれば焦らなくて大丈夫なことが多いです。
⚠️ 以下に当てはまる場合は相談を検討してください
- 2語文がまだ出ていない
- 使えることばが20語以下
- 「○○はどれ?」と聞いても指さしができない(理解力が育っていない)
- ことばが一度出たのに減ってきた(退行)

2歳で一番多い相談が「2語文がまだ出ない」です。でも私が最初に確認するのは発語の数より「理解力」です。「○○はどれ?」で指差せる、指示に従えるなら、ことばの土台はできています。発語が少なくても理解力が育っていれば、焦らなくて大丈夫。まず「どれくらい理解できているか」を確認してみてください。
2歳のことばの遅れについて詳しくはこちら。


3歳のことばの発達チェックリスト
3歳になると、会話らしい会話ができるようになってきます。「きのう〇〇したよ」という過去のことを話したり、「なんで?」「どうして?」という質問が増えてくる時期です。
ことばの理解
- 「大きい・小さい」「長い・短い」などの比較ことばが分かる
- 「赤・青・黄色・緑」など色の名前が分かる
- 大人の話しかけをほぼ理解できる
- 「テーブルの上のコップを持ってきて」などの2ステップ指示に従える
- 目の前で起きていないことでも、ことばで説明すれば理解できる
発語
- 「きのう こうえん いったよ」など、3語文以上で話す
- 自分の名前・年齢が言える
- 「なんで?」「どうして?」と理由を聞いてくる
コミュニケーション
- 同年代の子どもと言葉でやりとりして遊べる
- 自分の気持ちや要求をことばで伝えようとする
- 大人との会話のやりとりが2〜3回続く
🔍 家で試せる理解力チェック
「テーブルの上の赤いコップを持ってきて」など、場所・色・物を組み合わせた指示を出してみましょう。目の前にない状況でもことばで説明すれば理解できるかも確認のポイントです。
⚠️ 以下に当てはまる場合は相談を検討してください
- まだ1〜2語文が中心
- 初めて会う人には何を言っているか伝わりにくい
- 「なんで?」「どうして?」の質問に答えられない
- 発音が不明瞭で家族以外にほとんど通じない

3歳は健診もあり、「うちの子大丈夫?」と不安になりやすい時期です。心配なときは一人で悩まず、健診や通っている園に気軽に相談してみてください。「気になる」という感覚を伝えるだけで大丈夫です。必要なら専門家に導いてもらえます。
3歳のことばの遅れが気になる方はこちら。

4歳のことばの発達チェックリスト
4歳になると、ことばを使って友だちと遊ぶ力が育ってきます。「昨日こんなことがあって、それでね…」と出来事を順序立てて話せるようになる子も増えてくる時期です。
ことばの理解
- 昨日・今日・明日の区別が分かる
- 「〜だから」「〜だけど」などの接続詞の意味が分かる
- 「なんで?」と聞かれると、理由を答えられる
- 5まで数えて、ものの数が分かる
発語
- 体験したことを順序立てて話せる(「まず〇〇して、次に…」)
- 「〜だから」「〜だけど」など接続詞を使って話す
- 自分の気持ちをことばで伝えられる(「悲しい」「うれしい」)
コミュニケーション
- 友だちと言葉でルールを決めて遊べる
- なぞなぞやことば遊びを楽しめる
- 相手の話を聞いて、内容に合わせた返答ができる
🔍 家で試せる理解力チェック
「なんで転んだの?」「どうしてそれが好きなの?」など理由を聞く質問に答えられるか確認してみましょう。また、絵本を読んだ後「どんなお話だった?」と聞いて、自分のことばで説明できるかも理解力の目安になります。
⚠️ 以下に当てはまる場合は相談を検討してください
- 出来事を話すとき、順序がバラバラになりがち
- まだことばの発音が不明瞭で聞き取りにくいことが多い
- 気持ちをことばで伝えるのが難しく、すぐ手が出る・泣く

4歳ごろから「発音の心配」と「話の内容・友だちとのやりとり」に関する相談が増えてきます。「言いたいことはあるのに、うまく順序立てて話せない」という子も多いです。これは絵本の読み聞かせや日々の会話の工夫で伸ばすことができます。
4〜5歳の発音が気になる方はこちら。

5歳のことばの発達チェックリスト
5歳になると、就学を意識する親御さんも多い時期です。ひらがなへの興味、友だちとの複雑なやりとり、自分の気持ちを説明する力など、小学校生活に向けたことばの土台が作られていきます。
ことばの理解
- 大人の話を最後まで聞いて、内容を理解できる
- 「もし〇〇だったら…」という仮定の話が理解できる
- 「おもちゃを片付けて、手を洗って、テーブルに座って」など、複数の指示が通る
- 勝ち負けや順番などのルールを理解できる
発語
- 「どうして?」「なぜ?」に理由を説明して答えられる
- 絵本の内容を自分のことばで説明できる
- 「もし〇〇だったら…」という仮定の話ができる
- 自分の住所・電話番号を言える
コミュニケーション
- 友だちとルールを守って遊べる(勝ち負けを受け入れられる)
- ひらがなに興味を持ち、自分の名前を書こうとする
- 初めて会う人にも、自分のことを話せる
🔍 家で試せる理解力チェック
「先生の話をちゃんと聞けているか」が就学への目安になります。複数の指示を続けて出したとき(「おもちゃを片付けて、手を洗って、テーブルに座って」)、全部できるかを確認してみましょう。
⚠️ 以下に当てはまる場合は相談を検討してください
- 話の内容がまだ伝わりにくいことが多い
- 発音がまだ不明瞭(特にサ行・ラ行・ツ・チ)
- 集団での指示が通りにくい(クラスの活動についていけない)
- 吃音(どもり)が続いている

5歳での相談で多いのは「就学前に気になることを確認したい」というケースです。就学してから「もっと早く相談すればよかった」と言う親御さんに何度もお会いしてきました。気になることがある場合は、就学前の今が動きやすいタイミングです。
就学前のことばの心配はことばの教室への相談も選択肢の一つです。

チェックリストで気になる項目があったら
「いくつか当てはまった」と感じた方へ。チェックの数より、「どの項目が当てはまったか」が大切です。
特に注意してほしいのは次の2点です。
- 「ことばの理解」の項目が当てはまる場合——発語の数より優先して相談を検討してください
- 「できていたことが減ってきた(退行)」場合——早めに専門家に相談することをおすすめします
逆に、発語が少なくても理解力がしっかり育っていれば、「もう少し様子を見ましょう」となることが多いです。

相談に来てくださったお子さんと保護者の方から、こんな声をいただきます。「先生と遊ぶのを毎回楽しみにしていて、私も悩みをたくさん聞いてもらえてうれしい。もっと早く来ればよかった」——ことばの発達の相談は、診断を受けに行く場所ではありません。お子さんの「楽しいこと・得意なこと」を一緒に見つけ、より良い関わり方を一緒に考える場所です。「育て方が悪かった」わけでもありません。ぜひ気軽に一歩踏み出してみてください。
まず相談してみる——その一歩が一番大切です
最初の相談先はかかりつけの小児科か市区町村の保健センターが手軽です。「ことばのことが少し気になっています」と伝えるだけで大丈夫です。
「相談=問題があると認めること」ではありません。「確かめに行く」という気持ちで行ってみてください。「何もなかった」という結果でも、それはとても価値ある安心です。


STこんへのご相談
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療育センターで25年以上、ことばの発達に関わってきた現役の言語聴覚士です。
無料相談を受け付けています(月4件・先着順)。
どうぞお気軽にお申し込みください。
まとめ
- チェックで大切なのは「しゃべる量」より「ことばの理解」——「○○はどれ?」「2つの指示が通るか」で確認できる
- 1歳:指さしとことばの理解が重要なサイン
- 1歳半:1ステップ指示が通るか / 伝えようとしているか
- 2歳:2語文が出ているか / 2ステップ指示が通るか
- 3歳:3語文以上 / 比較ことば・理由の理解
- 4歳:出来事を順序立てて話せるか / 接続詞の理解と使用
- 5歳:複数の指示が通るか / 就学前が相談の動きやすいタイミング
- 「気になる」と思ったときが相談のタイミング。育て方の問題ではなく、より良い関わり方を一緒に見つける場所です

どの年齢でも大切なのは「比べない・焦らない・でも気になったら相談する」の3つです。ことばの発達は、毎日の楽しいやりとりの積み重ねの中で育ちます。このチェックリストが、安心して次の一歩を踏み出すヒントになれば嬉しいです。
よくある質問(FAQ)
Q. 子どものことばの発達チェックリストはどのように使えばよいですか?
チェックリストは「今のお子さんの状態を把握する」ための目安として使いましょう。チェックが少なくても焦る必要はありませんが、気になる項目がある場合は小児科や発達相談窓口に相談する参考にしてください。
Q. チェックリストで「できていない」項目が多い場合、すぐに療育が必要ですか?
チェックリストは専門的な発達評価の代わりにはなりません。「できていない」項目が多い場合は専門家への相談のきっかけにしてください。療育が必要かどうかは、専門家による詳しい評価をもとに判断します。
Q. ことばの発達の目安を知りたい場合、何を参考にすればよいですか?
市区町村の乳幼児健診(1歳半・3歳など)での評価、かかりつけ小児科の相談、言語聴覚士による発達評価が信頼できる方法です。インターネットの情報は目安として活用しつつ、不安な場合は専門家に直接相談することをおすすめします。

