子どものことばの発達チェックリスト【1歳〜5歳】年齢別の目安を現役言語聴覚士が解説
「うちの子のことば、遅いのかな?」「同じ年齢の子と比べて気になる…」と感じているパパ・ママへ。現役言語聴覚士が、1歳〜5歳の年齢別にことばの発達の目安をチェックリスト形式でお伝えします。
ことばの発達には大きな個人差があります。このチェックリストはあくまで「目安」です。いくつか当てはまらないものがあっても、すぐに問題があるとは限りません。ただ、「気になるな」という感覚が続く場合には、専門家への相談を検討してみてください。
この記事で分かること:
- 1歳〜5歳のことばの発達の目安
- 年齢別に「できること」と「相談を検討するサイン」
- 気になることがあったときの相談先
ことばの発達を見るときの大切な視点
チェックリストに入る前に、一つ大切なことをお伝えします。
ことばの発達を見るときは、「話す力(表出)」だけでなく「理解する力(理解)」も同じくらい重要です。
たとえば、「ことばがまだ少ない」というお子さんでも、「ちょっと待ってね」「持ってきて」「あっちに置いて」など、大人の言っていることをよく理解しているお子さんは、ことばが出てくるのも比較的スムーズなことが多いです。
チェックリストでは「話す」と「理解する」の両方をチェックしてみてください。

保護者の方からよく「うちの子はことばが少ないのですが」と相談を受けます。その際、私が必ず確認するのが「大人が言っていることはどのくらい分かりますか?」という質問です。

話す力より理解する力の方が先に育つため、理解がしっかりしていればことば数がまだ少なくても「もう少し様子を見ましょう」となることが多いです。
1歳のことばの発達チェックリスト
1歳は「初めてのことば(初語)」が出るかどうかが一つの目安になる時期です。ただし、初語が出る時期には大きな個人差があります。1歳0ヶ月で出る子もいれば、1歳6ヶ月ごろに出る子もいます。
✅ 1歳ごろにできること(目安)
- 「ママ」「パパ」「まんま」など、意味のあることばが1つ以上出る
- 名前を呼ばれると振り向く
- 「ちょうだい」と言いながら手を出すと、持っているものを渡せる
- 「バイバイ」と言われると手を振る
- 「ダメ」「いや」などの禁止のことばを理解している
- 指差しをする(あれ!という感じで指を向ける)
- 大人の表情や声のトーンに反応する
⚠️ 以下に当てはまる場合は相談を検討してください
- 1歳6ヶ月になってもことばがまだ出ていない
- 名前を呼んでも振り向かないことが多い
- 指差しがまったく出ていない
- 「バイバイ」など模倣(まねっこ)がほとんどない
- 目が合いにくいと感じる

1歳で気になることが多い相談の一つが「ことばがまだ出ていない」です。ただ、ことばが出る前の段階として「指差し」がとても大切なサインです。
指差しは「あれ見て!」「あれが欲しい!」という気持ちをことばの代わりに表現しているもの。指差しがしっかり出ていれば、ことばの発達は順調に進んでいることが多いです。
1歳半(1歳6ヶ月)のことばの発達チェックリスト
1歳6ヶ月健診では、ことばの発達について確認されることが多い時期です。「有意語が出ているか」「指差しができるか」が主なチェックポイントになります。
✅ 1歳半ごろにできること(目安)
- 「ママ」「ワンワン」「まんま」など、意味のあることばが5語以上出る
- 「これ何?」と聞くように指差しする(疑問の指差し)
- 「ワンワンどこ?」と聞かれると、犬の絵や本物を指差せる
- 簡単な指示(「ポイして」「持ってきて」)を理解して動ける
- 大人のすることをまねしようとする(電話のまね、お人形のお世話など)
- コップで飲む、スプーンを持とうとするなど、道具を使い始める
⚠️ 以下に当てはまる場合は相談を検討してください
- 有意語(意味のあることば)がまだ出ていない
- 指差しがほとんど出ていない
- 「ちょうだい」「持ってきて」などの簡単な指示が通らない
- 大人のすることをまねしない

1歳半健診で「ことばが少ない」と言われて受診するケースが多いのですが、この時期に大切なのはことばの数だけではありません。「ことばで伝えようとする気持ち(コミュニケーション意欲)」があるかどうかがとても重要です。
ことば数が少なくても、指差しや身振りで「あれ!」「これ!」と伝えようとしている子は、ことばの発達が促されやすい状態にあります。
2歳のことばの発達チェックリスト
2歳は「ことばの爆発期」と呼ばれる時期です。語彙が急激に増え、2語文(「ワンワン きた」「まんま ちょうだい」など)が出てくる大切な時期です。
✅ 2歳ごろにできること(目安)
- 「ワンワン きた」「まんま ちょうだい」など、2語文で話す
- 使えることばが50語以上ある
- 簡単な質問(「これ何?」)に答えようとする
- 「ちょうだい」「どうぞ」のやりとりができる
- 絵本の中の絵を見て名前を言える(犬、猫、車など)
- 「ない」「もっと」「いや」など気持ちを表すことばが出る
- 名前を呼ばれたらふりむく・返事をする
⚠️ 以下に当てはまる場合は相談を検討してください
- 2語文がまだ出ていない
- 使えることばが20語以下
- 呼んでも振り向かないことが多い
- ことばが一度出たのに減ってきた(退行)

2歳で一番多い相談が「2語文がまだ出ない」です。2歳0ヶ月と2歳11ヶ月では全然違います。「2歳になったのにまだ…」と焦る前に、まず「どんなことばがどれくらい出ているか」を数えてみてください。50語を超えていれば、もうすぐ2語文が出てくることが多いです。
3歳のことばの発達チェックリスト
3歳になると、会話らしい会話ができるようになってきます。「きのう〇〇したよ」という過去のことを話したり、「なんで?」「どうして?」という質問が増えてくる時期です。
✅ 3歳ごろにできること(目安)
- 「きのうこうえんいったよ」など、3語文以上で話す
- 自分の名前・年齢が言える
- 「大きい・小さい」「長い・短い」などの比較ことばが分かる
- 「なんで?」「どうして?」と理由を聞いてくる
- 「赤・青・黄色・緑」など色の名前が分かる
- 大人の話しかけをほぼ理解できる
- 簡単なおつかい(「テーブルの上のコップを持ってきて」)ができる
- 同年代の子どもと言葉でやりとりして遊べる
⚠️ 以下に当てはまる場合は相談を検討してください
- まだ1〜2語文が中心
- 初めて会う人には何を言っているか伝わりにくい
- 「なんで?」「どうして?」の質問にまだ答えられない
- 発音が不明瞭で家族以外にほとんど通じない

3歳は健診もあり、「うちの子大丈夫?」と一番不安になりやすい時期です。心配なときは、ご両親のみで悩まず、健診や通っている園に気軽に相談してみましょう。必要であれば、専門家への相談に導いてくれるはずです。
4歳のことばの発達チェックリスト
4歳になると、ことばを使って友だちと遊ぶ力が育ってきます。話の筋道が通ってきて、「昨日こんなことがあって、それでね…」と出来事を順序立てて話せるようになる子も増えてきます。
✅ 4歳ごろにできること(目安)
- 昨日・今日・明日の区別が分かる
- 体験したことを順序立てて話せる(「まず〇〇して、次に…」)
- 「〜だから」「〜だけど」など接続詞を使い始める
- 「5まで数えて」と言われたらできる
- 自分の気持ちをことばで伝えられる(「悲しい」「うれしい」)
- なぞなぞやことば遊びを楽しめる
- 友だちと言葉でルールを決めて遊べる
⚠️ 以下に当てはまる場合は相談を検討してください
- 出来事を話すとき、順序がバラバラになりがち
- 「なんで?」と聞かれても「…うん」と答えを言えない
- まだことばの発音が不明瞭で聞き取りにくいことが多い
- 気持ちをことばで伝えるのが難しく、すぐ手が出る・泣く

4歳になると「発音の心配」と共に「話の内容」や「友だちとのやりとり」についての相談が増えてきます。「言いたいことはあるのに、うまく順序立てて話せない」という子も多いです。これはことばの発達というより「話の構成力(ナラティブ)」の発達の問題で、絵本の読み聞かせや日々の会話の工夫で伸ばすことができます。
5歳のことばの発達チェックリスト
5歳になると、就学を意識する親御さんも多い時期です。ひらがなへの興味、友だちとの複雑なやりとり、自分の気持ちを説明する力など、小学校生活に向けたことばの土台が作られていきます。
✅ 5歳ごろにできること(目安)
- 自分の住所・電話番号を言える
- 「どうして?」「なぜ?」に理由を説明して答えられる
- ひらがなに興味を持ち、自分の名前を書こうとする
- 絵本の内容を自分のことばで説明できる
- 「もし〇〇だったら…」という仮定の話ができる
- 勝ち負けや順番のルールを守って遊べる
- 大人の話を最後まで聞いて、内容を理解できる
⚠️ 以下に当てはまる場合は相談を検討してください
- 話の内容がまだ伝わりにくいことが多い
- 発音がまだ不明瞭(特にサ行・ラ行・ツ・チ)
- ひらがなへの興味がほとんどない
- 集団での指示が通りにくい(クラスの活動についていけない)
- 吃音(どもり)が続いている

5歳での相談で多いのは「就学前に気になることを相談したい」というケースです。就学してから「もっと早く相談すればよかった」と言う親御さんが多いのも事実です。
気になることがある場合は、就学前の今が動きやすいタイミングです。保健センターや療育センターへの相談、就学相談など、焦らず一歩踏み出してみてください。
チェックリストで気になる項目があったら
チェックリストを見て「うちの子、いくつか当てはまるな」と感じた方へ。まず大切なことをお伝えします。
チェックの数が多いからといって、必ず問題があるわけではありません。
ことばの発達には大きな個人差があります。チェックリストはあくまで「目安」であり、同じ年齢でも発達のスピードは子どもによってまったく異なります。
ただし、以下のいずれかに当てはまる場合は、専門家への相談をおすすめします。
- 気になる項目が複数ある
- 以前できていたことができなくなった(退行)
- ことばの発達以外にも気になることがある
- 「もしかして?」という感覚が続いている
相談先の選び方
まずは保健センターへ。お住まいの地域の保健センターに電話するのが最も手軽です。保健師さんに相談すると、必要に応じて言語聴覚士や専門機関を紹介してもらえます。
「相談=問題があるということ」ではありません。相談することで「今は様子見でOK」という安心を得られることも多いです。

「様子を見ましょう」と言われて、結果的に支援が遅れてしまった…というケースを現場で多く見てきました。「気になるな」と思ったときが相談のタイミングです。
専門家に診てもらうことで、お子さんに合った関わり方が分かり、むしろ気持ちが楽になることの方が多いです。ひとりで悩まず、一歩踏み出してみてください。
まとめ
- ことばの発達には大きな個人差があり、チェックリストはあくまで「目安」
- 1歳:初めてのことば(初語)が出る時期
- 2歳:2語文が出て、語彙が急激に増える「ことばの爆発期」
- 3歳:会話ができるようになり、「なんで?」の質問が増える
- 4歳:出来事を順序立てて話せるようになり、友だちとのやりとりが広がる
- 5歳:就学を意識した複雑なことばの力が育つ
- 気になることがあれば、早めに保健センターや専門家へ相談を

どの年齢でも大切なのは「比べない・焦らない・でも気になったら相談する」の3つです。ことばの発達は、親御さんがお子さんと楽しく関わる毎日の積み重ねの中で育ちます。このサイトが、そのヒントを少しでもお届けできたらうれしいです。

