「5歳なのにことばが遅い・少ない」が心配なママ・パパへ|就学前に確認すべきことを現役言語聴覚士が解説
「5歳になったのに、まだことばが少ない…」
「来年は小学校なのに、このままで大丈夫なの?」
「5歳健診・就学時健診でことばのことを指摘されてしまった」
そんな不安を抱えながら、このページを開いてくださったのではないでしょうか。
こんにちは。現役言語聴覚士(ST)の「こん」です。毎日、ことばの発達が気になるお子さんと関わりながら、ママ・パパのご相談にも乗っています。
5歳は、就学まであと1年という大切な時期です。4歳のときよりも「今すぐ動くかどうか」が、就学後の生活に大きく影響します。
この記事では、
- 5歳のことばの発達目安
- 5歳健診・就学時健診でことばを指摘されたときの対応
- 「様子見でOK」と「今すぐ動くべき」の見分け方
- 家庭でできる関わり方
- 就学先の選択肢と就学相談の進め方
をSTの視点からわかりやすくお伝えします。
5歳のことばの発達目安|まずここをチェックしよう
5歳ごろの「標準的なことばの発達」を確認しましょう。4歳の目安より一段上の内容になっています。
5歳ごろの発達目安
| チェック項目 | 目安 |
|---|---|
| 語彙数 | 2,000〜3,000語程度 熟語がわかる「危険」「渋滞」「満腹」 抽象語がわかる「親切」「愛」「注意」 |
| 文の長さ・構造 | 5語文以上・複雑な文、接続詞を使った文が使える 「あげる、もらう」が適切に使える |
| 時制の使い分け | 過去・現在・未来を正しく使い分けられる |
| 理由を説明できる | 「〜だから〜した」「〜なので〜だと思う」と理由を順序立てて話せる |
| 物語を話せる | 今日あったことを始め・中・終わりの順序で話せる |
| 友だちとのやりとり | 複数人での会話のやりとりが成立する。ルールのある遊びで交渉できる |
| 文字への興味 | ひらがなを読もうとする・自分の名前を書こうとする |

5歳になると「話せる」だけでなく「順序立てて話せる」力が育ちます。「今日何したの?」という質問に、始め・中・終わりの流れで話せるかどうかは、就学後の国語・作文の力にも直結します。この力が弱いと感じる場合は、早めに専門家に相談してください。
より詳しい年齢別のことばの発達チェックリストはこちらをご覧ください。

5歳健診・就学時健診でことばを指摘されたら
5歳の時期に関わる健診には、主に2種類あります。
5歳健診とは
5歳の誕生日前後に行う健診で、自治体によって現在実施しているところとしていないところがあります。国からの通知があったので、ここ1年程度で始まってくると思います。
5歳児健診は、発達や行動面の気になるサインを早期に発見し、就学前に支援につなげることを目的としています。ことばの発達・社会性・行動面などを総合的に確認します。
就学時健診とは
小学校入学の前年(年長の秋〜冬、10〜11月頃)に各小学校で実施される健診です。視力・聴力・内科検診に加えて、ことばや知的発達の簡単なスクリーニングが行われます。ここで「ことばが気になる」「発達の確認が必要」と指摘されることがあります。
指摘されたときの次のステップ
「指摘された=何か重大な問題がある」ということではありません。あくまでスクリーニング(ふるい分け)なので、詳しく確認しましょうという意味です。
指摘された場合は以下のステップで動きましょう。
- まず健診を実施した保健師や医師に「次はどこに相談すればいいか」を確認する
- 家庭でできる支援、対応について聞く
- お住まいの保健センターや発達支援センターに相談の予約を入れる
- 就学時健診での指摘は、就学相談(教育委員会)とも連動している場合がある

就学時健診でことばを指摘されると、ショックを受けるママ・パパも多いです。でも「早く気づけてよかった」と前向きに捉えてください。就学までの数か月間でも、専門家につながることで大きく変わるお子さんをたくさん見てきました。指摘はチャンスです。
「様子見でOK」vs「今すぐ動くべき」5歳版STのサイン
5歳は就学まであと1年程度です。4歳のときより「今すぐ動くかどうか」の判断が重要になります。
今すぐ専門機関に相談することをおすすめするサイン
以下のうち1つでも当てはまる場合は、すぐに動くことをおすすめします。
- 接続詞を使用した文がまだ出ていない「〜だけど、〜だった」等
- 今日あったことを順序立てて話せない
- 友だちとの会話のやりとりが成立しにくい
- 集団の中でのルールや指示が通りにくい
- 5歳健診・就学時健診でことばや発達を指摘された
- こだわりが強い、感情のコントロールが難しい
- お子さん自身がことばのことを気にしている
- 幼稚園・保育園の先生から継続的に指摘されている
「もう少し様子を見てもよい」ケースの目安
- 質問に答えることはできており、相手にことばで伝えようとする意欲がある
- 発音は不明瞭だが、会話のやりとりは成立している。発音については、別記事を。
- 友だちとの遊びに参加できている
ただし5歳で「様子を見ましょう」は4歳のときより慎重に判断する必要があります。就学まで1年を切っている場合は、「迷ったら相談する」を基本にしてください。

5歳で「様子を見て」と言われてモヤモヤしているなら、セカンドオピニオンとして別の専門家に相談することも選択肢のひとつです。就学まであと1年、動ける時間は限られています。「大げさかな」と思わず、まず一歩踏み出してみてください。
家庭でできる関わり方
5歳向けの関わり方は、4歳のときより「話す力を引き出す」ことを意識したものになります。
コツ① 今日あったことを一緒に振り返る
夕食やお風呂のタイミングで「今日の幼稚園(保育園)で一番楽しかったことは?」と聞いてみましょう。最初は「遊んだ!」だけでも、「誰と?」「何して遊んだの?」「最初はどうだった?」と少しずつ聞き方を広げていくことで、物事を順序立てて話す力が育ちます。
ポイントは「答えを急かさない」こと。子どもが考える時間をゆっくり待ってあげましょう。
家族で出かけたとき、家庭で印象的な出来事が起こったときは、スマホで写真を撮っておき、夕食や寝る前にその写真を見ながらお話するのもおすすめです。
フォトブック等も活用できるといいですね。日にちやカレンダーの理解が進むとやりとりが続きます。下記の記事も参考にしてください。
コツ② 「なぜ?」「どうして?」を一緒に考える
「このキャラクターはなんで怒ってるんだろうね?」「どうしてこうなったと思う?」と、理由を一緒に考える習慣をつけましょう。答えが間違っていても「そうかもしれないね!」と受け取り、大人の考えも伝えます。理由を考えてことばにする力は、就学後の学習の基礎になります。
絵本を積極的に活用していきましょう。

コツ③ 友だち・家族とルール遊びをしよう
鬼ごっこ・かくれんぼ・缶けり・どろけいなど、ルールのある遊びを積極的に取り入れましょう。ルール遊びはことばの発達において非常に重要な役割を持っています。
- ルールを理解して伝える:「鬼は目を閉じて10数えてね」など、ことばでルールを説明する機会が生まれます
- 役割交代のことば:「次は〇〇ちゃんの番」「今度は私が鬼」など、順番や役割を表すことばが自然に出てきます
- 感情表現の練習:勝ち負けや悔しさ・嬉しさをことばで表現する機会になります
- 交渉する力:「ずるい!」「もう1回やろう」など、自分の気持ちをことばで伝える練習になります

「ルール遊びはただの遊び」と思うかもしれませんが、ことばの発達においてとても価値があります。ルールを理解し、友だちと交渉し、感情を表現する——これらはすべてことばの力です。外遊びをぜひ積極的に取り入れてください。
コツ④ 知識を吸収してことばを増やそう
お子さんが興味あることは、何でしょうか。乗り物ですか?動物ですか?虫ですか?
興味があることを図鑑で調べ、特徴を知ること、他と比較したりする中から多くのことばを吸収していきます。新しい知識をお子さんと一緒に調べながら、「カブトムシとクワガタ、どこが違うんだろうね?」「この新幹線は何時間で東京に着くの?」と一緒に考えていくことで、比較することば(「〜より」「〜の方が」)・説明することば(「〜というのは」「〜のことを〜という」)・理由を表すことば(「〜だから」「〜なので」)が自然に広がっていきます。
図鑑は子どもの「知りたい!」という気持ちに寄り添った最高の教材です。読み聞かせと同じように、一緒に開いて「すごいね!」「知らなかったね!」と驚きを共有することが大切です。
最近はとても良い図鑑がたくさんあるので、ぜひ利用してみてください。

「好きなことについてことばを増やす」は、STの現場でも実際に使うアプローチです。好きなテーマは子どもが自ら話したがるため、自然なやりとりが生まれやすく、ことばの定着率もぐっと上がります。無理に語彙を教えようとするより、お子さんの「好き」に乗っかることが一番の近道です。
コツ⑤ 文字への興味を育てる
5歳は多くの子どもがひらがなに興味を持ち始める時期です。「これ何て読むの?」と聞いてきたら積極的に教えましょう。絵本の文字を一緒に指でなぞりながら読む、自分の名前をひらがなで書いてみるなど、遊びの延長で文字に親しむ機会を作りましょう。
文字の学習については、こちらの記事を参考にしてください。

5つのコツすべてをいっぺんにやろうとしなくて大丈夫です。まず「今日あったことを一緒に振り返る」から始めてみましょう。毎日5分でも積み重ねることが大切です。
就学先の選択肢と就学相談の進め方
5歳は「どの学校・どの学級に進むか」を考え始める年齢です。焦る必要はありませんが、選択肢を知っておくことがとても大切です。
就学先の選択肢
① 通常学級(普通学級)
一般的なクラスです。必要に応じて「通級指導教室」(週数時間、別室でことばや学習の支援を受けられる場所)を利用することも可能です。
② 特別支援学級
少人数のクラスで、お子さんの特性に合わせた個別の支援が受けられます。「知的障害学級」「自閉症・情緒障害学級」など種類があります。通常学級との交流授業もあります。
③ 特別支援学校
より専門的・個別的な支援が必要なお子さんのための学校です。少人数で手厚いサポートが受けられます。
どれが「正解」というわけではありません。お子さんの特性・困りごと・本人の気持ちを総合的に考えて、専門家と一緒に決めていくものです。
就学相談の進め方
就学相談は、お住まいの市区町村の教育委員会が窓口です。多くの自治体では年長(5歳児)の4〜6月頃から相談が始まります。今まさにそのタイミングです。
- まず教育委員会に「就学相談をしたい」と電話で問い合わせる
- 心理士・教育相談員などによる面談・観察・検査が行われる
- その結果をもとに就学先を一緒に考えていく

「就学相談をしたら支援学級に入れられてしまう」と思っているパパ・ママも多いですが、最終的に就学先を決めるのは保護者の方です。相談はあくまで情報収集と専門家の意見を聞く場。怖がらずに、まず電話一本から問い合わせてみてください。
相談先についての詳しい解説はこちら。
まとめ
① 5歳のことばの発達目安を知ろう
接続詞を使用した文、物語を順序立てて話す・時制の使い分け・友だちとの複雑なやりとりが目安。就学に向けた力を確認しよう。
② 5歳健診・就学時健診での指摘は早めに動くサイン
指摘されたからといって慌てる必要はないが、次のステップに早めに動くことが大切。
③ 就学まであと1年。迷ったら相談を
就学相談は年長の4〜6月頃スタート。教育委員会へ早めに問い合わせることで、選択肢が広がります。

5歳でことばが気になっているママ・パパへ。「もう5歳なのに」と自分を責めないでください。気づいて動こうとしているあなたは、すでにお子さんのために最善を尽くしています。就学まであと1年、専門家と一緒に考えていきましょう。一人で抱え込まず、ぜひ相談窓口を頼ってください。
年齢別の記事もあわせてご覧ください



次に読む記事


