絵本でことばの発達を促す方法|年齢別の選び方と読み聞かせのコツ【言語聴覚士が解説】
「絵本の読み聞かせがことばの発達に良いって聞くけど、どんな絵本を選べばいいの?」
「読み聞かせをしているのに、ことばがなかなか増えない…何かコツがあるの?」
「子どもがじっと聞いてくれなくて、正しく読めているか不安…」
そんなパパ・ママへ、この記事を書きました。
こんにちは。現役言語聴覚士(ST)の「こん」です。療育センターで25年以上、ことばの発達が気になるお子さんと関わってきた経験から、読み聞かせの効果とコツをSTの視点でお伝えします。
この記事では、
- 絵本がことばの発達に効果的な3つの理由
- 年齢別おすすめ絵本の選び方
- ことばが育つ読み聞かせのコツ5つ
- よくある疑問へのQ&A
をSTの視点からわかりやすくお伝えします。
絵本がことばの発達に効果的な3つの理由
① 日常では出会えないことばに触れられる
日常会話は、どうしても同じことばの繰り返しになりがちです。一方、絵本には日常では使わないことばがたくさん登場します。動物・自然・感情を表すことばなどが、物語の中で具体的なイメージと結びつくため、記憶に残りやすくなります。
② 繰り返しでことばのリズムと語彙が自然に身につく
ことばを覚えるには、繰り返し聞くことがとても大切です。絵本にはリズム感のある文章や繰り返しのフレーズが多く含まれています。同じ絵本を何度も読むことで、子どもは自然とことばのリズムを身につけていきます。
③ 絵と一緒に聞くことで意味理解が深まる
幼児はことばだけでなく、視覚的な情報と組み合わせることで理解を深めます。絵本は必ず絵がついているため、ことばの意味をイメージしやすく、物語の流れを視覚的に追うことで文脈も学べます。

読み聞かせの効果は、絵本の「量」よりも「質」と「やりとり」で決まります。毎日1冊でも、子どもが興味を持てる絵本を一緒に楽しむことが、ことばの発達への一番の近道です。
どのくらいの頻度で読み聞かせすればいい?
毎日5分からでもOKです。1回に長時間読むよりも、短時間でも毎日続けることが大切です。
食事の後や寝る前など、生活の中の決まったタイミングに組み込むと習慣化しやすくなります。「寝る前に1冊だけ」と決めておくだけで、無理なく続けられます。子どもが飽きてしまうときは、無理に読み続けず、子どもの集中力に合わせて短めに切り上げてOKです。

「毎日ちゃんと読まないといけない」と思いすぎなくて大丈夫です。忙しい日は1ページだけでも、子どもと一緒に絵を見て「これなんだろう!」と話すだけでも、立派な読み聞かせです。
ことばの発達を促す絵本の選び方|年齢別おすすめ
0〜1歳|擬音語・擬態語が多いものを
1ページに1つの絵が描かれたシンプルな絵本が最適です。「じゃあじゃあ」「ぴよぴよ」など擬音語・擬態語が豊富な絵本は、聞く力とことばの発達を促します。
おすすめ絵本
- 「じゃあじゃあびりびり」(まついのりこ)
- 「だるまさんシリーズ」(かがくいひろし)
- 「赤ちゃん版ノンタンセット」(キヨノサチコ)
- 「いただきますあそび」(木村裕一)

この時期は「じっと聞かせる」より「一緒に楽しむ」が大切です。子どもが指さしたページだけ読む、絵を見て「わんわんだね」と話しかけるだけでも十分なインプットになります。
2〜3歳|簡単なストーリーがあるものを
生活経験が増えてくる2〜3歳には、日常場面に近い簡単なストーリーの絵本がおすすめです。自分の経験とストーリーを結びつけながら、ことばの理解を深めていきます。
おすすめ絵本
- 「パオちゃんシリーズ」(なかがわみちこ)
- 「ノンタンシリーズ」(キヨノサチコ)
- 「はらぺこあおむし」(エリック・カール)
- 「おおきなかぶ」(トルストイ)

「おおきなかぶ」のような繰り返しのある絵本は、一緒に声を出しやすくてとてもおすすめです。「うんとこしょ、どっこいしょ!」と一緒に言えたとき、ことばが育っているサインです。
4歳以上|会話が多い絵本・童話を
4歳以上になると、登場人物間の会話が豊富な絵本や、人の気持ちが表現されている絵本が適しています。昔話や童話もおすすめです。自分の経験にないことを想像力でカバーし、物語の世界に入れるようになる年齢です。
おすすめ絵本
- 「11ぴきのねこシリーズ」(馬場のぼる)
- 「くれよんのくろくんシリーズ」(なかやみわ)
- 「大ピンチずかん」(鈴木のりたけ)
- 「3びきのこぶた」「赤ずきん」「おおかみと7ひきのこやぎ」などの童話

4歳以上は絵本を読んだあと「どうしてこうなったと思う?」「あなたならどうする?」と問いかけてみてください。理由を考えて説明する力が、ことばの発達にとってとても重要です。

昔から親しまれている童話等もオススメ。自分の経験したことのないことを想像力でカバーし、物語の世界に入っていくことができます。
年齢別のおすすめおもちゃと絵本については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
→ ことばの発達を促すおもちゃ・絵本13選|言語聴覚士が1歳・2歳・3歳の年齢別に厳選

ことばが育つ読み聞かせのコツ5つ
コツ① ゆっくり、はっきり読む
少しゆっくりめに、はっきりと読んであげることで、子どもは一つひとつのことばをしっかり認識できるようになります。大人の日常会話は速すぎて聞き取りにくいことがあるため、絵本の読み聞かせは意識的にゆっくりと。
コツ② 声のトーンを変えて感情を込める
声のトーンを変えて、少し大げさなくらい感情を込めることで、子どもが絵本の内容に興味を持ち、集中して聞くようになります。登場人物ごとに声を変えるだけでも、子どもの目が輝きます。
コツ③ 文字通りに読まなくていい
子どもが聞いてくれないときは、そのまま読もうとしなくてOKです。子どもが気になった絵や、ママ・パパが気になった場面にことばを添えるだけで十分です。「あ、ここにカエルがいるね」「これ、なに食べてるのかな?」と自由に話しかけましょう。
コツ④ 子どもとのやりとりを大切にする
「これはなあに?」「どっちが好き?」と問いかけながら読むことで、子どもとの会話が自然に生まれます。ただし問いかけすぎは逆効果。子どもが答えられないときは優しくヒントを出したり、一緒に考えたりしましょう。
話しかけ方の具体的なコツはこちらの記事もご参考に。
→ ことばが遅い子への話しかけ方10のコツ|インリアルアプローチを現役言語聴覚士がわかりやすく解説

コツ⑤ 子どもが知っていることばを足がかりにする
新しいことばをどんどん教えようとすると、子どもは理解できず絵本が嫌いになってしまいます。すでに知っていることばを基盤にして、少しずつ広げていきましょう。たとえば「りんご」を知っている子に「赤いりんご」「甘いりんご」「丸いりんご」と表現を加えるだけで、語彙が自然に広がります。

5つのコツを全部やろうとしなくて大丈夫です。まずは「ゆっくり読む」と「文字通りに読まなくていい」の2つだけ意識してみてください。それだけで読み聞かせの質がぐっと上がります。
よくある質問 Q&A
Q1. 1歳児が読み聞かせ中にじっとしてくれません
1歳児がじっと聞けないのは当然です。興味のあるページだけ読んだり、子どもが指さしたところだけ読んだりするだけで十分です。動きのある絵本や、音の出る仕掛け絵本を取り入れるのもおすすめです。
Q2. 読み聞かせの時間がなかなか取れません
「お風呂上がり」「寝る前」など、習慣化しやすいタイミングを1つ決めるだけでOKです。1冊全部読まなくても、1〜2ページだけでも毎日続けることが大切です。
Q3. 何冊ぐらい絵本を用意すればいいですか?
最初は3〜5冊から始め、子どもの興味に合わせて少しずつ増やすのがおすすめです。図書館を活用して、借りてくることもぜひ取り入れてみてください。
Q4. 同じ絵本ばかり読んでほしいとせがまれます
同じ絵本を繰り返し楽しむことはとても良いことです。繰り返し読む場合は、絵の細かい部分に注目するよう指さしで促したり、「次はどうなるかな?」と一緒に楽しむと語彙がさらに広がります。「1冊は子どもが選ぶ、もう1冊はパパ・ママが選ぶ」というルールにすると、自然に様々な絵本に触れられます。
まとめ
① 絵本は語彙・リズム・意味理解を同時に育てる最高のことばの教材
毎日5分からでOK。量より継続が大切。
② 年齢に合った絵本を選ぼう
0〜1歳は擬音語中心、2〜3歳は日常ストーリー、4歳以上は会話・童話が効果的。
③ 読み方のコツはたった2つから
「ゆっくり読む」「文字通りに読まなくていい」を意識するだけで、読み聞かせの効果が大きく変わります。

ポイントは何と言っても「楽しく続けること」です。完璧に読もうとしなくていい。子どもが喜ぶ顔を見ながら、一緒に絵本の世界を楽しんでください。その時間そのものが、ことばの土台を育てています。
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