保育園・幼稚園でことばを指摘された|そのとき親がまずやること【言語聴覚士解説】
「お子さんのことば、少し気になっています」
園でのお迎えのとき、先生からそう言われた瞬間——頭が真っ白になりませんでしたか。
「うちの子に何か問題があるの?」「今まで気づかなかった私のせい?」「これって発達障害ってこと…?」——そんな言葉が頭を駆け巡る気持ち、よくわかります。
私は言語聴覚士として25年以上、療育センターで多くのご家族と関わってきました。「保育園・幼稚園で指摘されて来ました」と相談に来られる親御さんは、本当にたくさんいらっしゃいます。
この記事では、指摘された後に親御さんが具体的に何をすればいいかを、順番にお伝えします。動揺している今だからこそ、正確な情報と次の一歩を知ってほしいと思っています。
なぜ保育園・幼稚園の先生はことばを指摘するのか
まず、これだけは知っておいてください。
先生の指摘は、責めているのではありません。
保育士・幼稚園教諭は毎日多くのお子さんと関わっているため、発達の違いに気づきやすい立場にあります。「気になる」と感じたとき、それを親御さんに伝えるのは、お子さんのことを思ってのことです。
ただし、先生は医療や発達の専門家ではありません。「ことばが遅いかもしれない」と感じて伝えることはできても、原因や診断はわかりません。先生の言葉は「観察した様子の共有」であって、「問題がある」という判定ではないのです。
指摘された事実は受け止めつつ、まずは落ち着いて次のステップに進みましょう。
2〜3歳でよく指摘されることばの特徴
保育園・幼稚園で「ことばが気になる」と言われる場合、どんな様子が背景にあるのでしょうか。よく見られる4つのパターンをご紹介します。
ことばの量が少ない・文章で話せない
同じ年齢の子と比べて語彙が少ない、単語だけで話している、「〇〇して」などの二語文・三語文がなかなか出ない——こうした様子が気になると伝えられることがあります。
2歳では「ワンワンきた」のような二語文、3歳では「〇〇ちゃんと公園で遊んだ」程度の会話が目安です。ただし個人差も大きく、これだけで判断はできません。
発音が聞き取りにくい
話してはいるけれど、先生や友達に伝わらないことが多い。本人が「うまく伝わらない」と感じて話すのを嫌がる。こうした場合に指摘されることがあります。
発音の発達には年齢による目安があり、3〜4歳頃までは不明瞭でも正常な範囲のことが多いです。ただ、コミュニケーションに支障が出ているときは確認が必要です。
やりとりがかみ合いにくい
話しかけても反応が薄い、会話が一方通行になりやすい、集団での指示が通りにくい——こうした様子は、先生が日々の保育の中でとくに気づきやすいポイントです。
ことばの「量」だけでなく「使い方・やりとり」に特徴が見られる場合は、専門家の目で確認してもらうことが大切です。
園では話さない・特定の場面で黙ってしまう
「家ではよく話すのに、園では全然話さない」という場合、単なる人見知りではなく「場面緘黙(かんもく)」という状態の可能性があります。不安や緊張から特定の場面で話せなくなるもので、ことばの遅れとは異なる対応が必要です。

この特徴が当てはまる場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。
指摘されたら、まずやること【5ステップ】
動揺していても、次の5つを順番に進めていけば大丈夫です。
① 先生の話をもう一度、具体的に聞く
「ことばが気になります」だけではなく、「どんな場面で」「どんなふうに」気になるのかを具体的に確認しましょう。
「朝の会で名前を呼ばれても返事をしない」「友達に話しかけても伝わらないことが多い」「絵本の読み聞かせのとき言葉の反応が薄い」——こうした具体的な情報は、後の専門家への相談でとても役立ちます。メモを取っておくと安心です。
② 家庭での様子と照らし合わせる
「家ではよく話しているのに?」と感じる方もいるかもしれません。家庭と園での様子の違いは、それ自体が重要な情報です。
年齢ごとのことばの発達目安はこちらで確認できます。
→ 子どものことばの発達チェックリスト【1歳〜5歳】

③ かかりつけの小児科に相談する
「保育園でことばのことを指摘されました」とそのまま伝えれば大丈夫です。必要に応じて発達専門の医療機関や相談窓口を紹介してもらえます。
「小児科に行くほどのこと?」と思う必要はありません。ことばに関する相談は、小児科医がよく受ける内容のひとつです。
④ 市区町村の発達相談窓口に連絡する
保健センター・子育て支援センター・発達支援センターなど、市区町村には無料で相談できる窓口があります。「ことばのことを相談したい」と伝えるだけで、適切な機関につないでもらえます。
小児科への受診と並行して動くことも可能です。待ち時間が長い場合も多いので、早めに連絡しておくのがおすすめです。
⑤ ことばの専門家(言語聴覚士)に相談する
「どこに行けばいいか迷っている」「まず専門家の意見を聞いてから動きたい」という場合は、言語聴覚士に直接相談する方法もあります。
言語聴覚士との相談で何をするかが気になる方はこちらをご覧ください。
→ 言語聴覚士に相談すると何をするの?検査・訓練の内容を現役STが解説

「まず話だけ聞いてほしい」という方へ
言語聴覚士歴25年以上|STこん
「どこに相談すればいいかわからない」「外出が難しい」「まず専門家の意見を聞いてから動きたい」——そんな方のために、STこんでは書面形式のオンライン相談を2026年秋頃から開始予定です。事前のご登録も受け付けています。
※ 相談の受付は2026年秋頃開始予定。事前のご登録も受け付けています。
「もう少し様子を見ましょう」と言われたときの注意点
先生や医師から「様子を見てみましょう」と言われることがあります。その言葉を聞いてほっとする気持ちはよくわかりますが、「様子を見る=何もしなくていい」ではありません。
様子を見るときに大切な3つのことをお伝えします。
「いつまで」を決めておく。「3ヶ月後にもう一度確認しましょう」など、期間の目安を聞いておきましょう。ずっと待ち続けることにならないように。
家庭での様子を記録しておく。「今日こんなことを話した」「この言葉が出た」など、日常のメモが次の相談で役立ちます。
半年経っても変化がなければ、専門家へ。「様子見」が長くなりすぎないよう、自分でタイムラインを持っておくことが大切です。
相談のタイミングについて詳しくはこちらをご覧ください。
→ 子どものことば、いつ相談すればいい?相談のタイミングと選び方

早めに動いてよかった、と感じる理由
25年以上、多くの親御さんと関わってきて思うことがあります。
早めに相談に来られた方の多くが「来てよかった」とおっしゃいます。その理由は2つです。
ひとつは、「大丈夫」とわかって安心できること。専門家に「今の発達段階では正常の範囲です」と言ってもらえるだけで、親御さんの気持ちはずいぶん楽になります。モヤモヤしたまま1年過ごすより、早めに確かめたほうがいい。
もうひとつは、もし支援が必要なら、早いほど効果が高いこと。ことばの発達は、幼児期に働きかけることで伸びやすい時期があります。「もっと早く来ていれば」と後悔される方もいらっしゃいます。だから私は、迷ったら早めに動くことをすすめています。
2歳・3歳のことばの発達についてはこちらも参考にしてください。
→ 2歳でことばが出ない・話さない原因と対処法
→ 3歳でことばが遅い・少ない原因といつまで様子見でいいか

まとめ
- 先生の指摘は責めではなく「気にかけてくれているサイン」。受け止めながらも、焦りすぎないことが大切です
- まず先生に「どんな場面で」「どんなふうに」気になるかを具体的に聞きましょう
- かかりつけの小児科・市区町村の相談窓口への連絡が最初の一歩です
- 「様子を見ましょう」と言われたときは、期間・記録・タイムラインをセットで
- 迷ったら早めに動くことが、お子さんへの一番のサポートになります

指摘された日のショックをひとりで抱え込まないでください。専門家に話すことで、気持ちも、次の一歩も、きっと整理できます。

