「3歳なのにことばが遅い・少ない」が心配なパパ・ママへ|原因と家庭でできる対応を現役言語聴覚士が解説
「3歳になったのに、まだことばが少ない気がする」
「保育園の先生に”ことばが気になります”と言われた」
「同じ月齢の子と比べると、明らかに話すことが少ない…」
そんな不安を抱えながら、このページを開いてくださったのではないでしょうか。

こんにちは。現役言語聴覚士(ST)の「こん」です。毎日、ことばの発達が気になるお子さんと関わりながら、パパ・ママのご相談にも乗っています。
3歳は、ことばの発達において「個人差が大きい時期」であると同時に、「早めに動くことで大きく変わる時期」でもあります。
この記事では、
- 3歳のことばの発達目安
- ことばが遅くなる主な原因
- 「様子見でOK」と「早めに相談すべき」の見分け方
- 家庭でできる関わり方3つのコツ
- 相談先・支援機関の選び方
をSTの視点からわかりやすくお伝えします。「うちの子は大丈夫?」をこの記事で確認してみてください。
3歳ことばの発達目安|まずここをチェックしよう
まず、3歳ごろの「標準的なことばの発達」を確認しましょう。以下は目安です。個人差があるため、すべてを満たさなければNGというわけではありませんが、参考にしてみてください。
3歳ごろの発達目安
| チェック項目 | 目安 |
|---|---|
| 語彙数 | 200〜900語程度(個人差大) |
| 文の長さ | 3語文以上(「ママ・おそと・いく」など)が出てくる |
| 会話のやりとり | 簡単な質問に「うん」「ちがう」以外で答えられる |
| 自分の名前 | 「お名前は?」に答えられる |
| 大人の話を理解 | 2段階の指示が通る(「靴を取ってきて、ここに置いてね」など) |
| 知らない人にも伝わる | 家族以外にも話が通じる(50〜75%程度) |
「うちの子、いくつか当てはまらない…」と感じた方も、まずは落ち着いて読み進めてみてください。

目安の数字を見て「うちの子、全然足りない…」と焦ってしまうかもしれません。でも、語彙数は数えること自体が難しく、意外と多くのことばを知っているお子さんもいます。数字よりも「やりとりが成立しているか」「伝えようとしているか」を見てあげてください。
より詳しい年齢別のことばの発達チェックリストは、こちらの記事でも解説しています。

「ことばが遅い」と感じるとき、考えられる原因5つ
ことばの遅れには、さまざまな背景があります。原因によって、家庭でできることも変わってきます。主なものを5つ紹介します。
① ことばのインプット量・環境の問題
ことばは「聞いた量」に比例して育ちます。テレビやスマートフォンの音声が多い環境で、大人との双方向のやりとりが少ない場合、ことばの発達がゆっくりになることがあります。
ただし、これは「親の育て方が悪い」という意味ではありません。忙しい毎日の中で、ふとした関わり方を意識するだけで変わることも多いです。
② 双子・多胎・きょうだいが近い年齢
双子や、きょうだいが近い年齢の場合、大人との1対1のやりとりが少なくなりがちです。また、きょうだい間で通じる「独自の言語(双子語)」が発達し、外のことばの発達がゆっくりになることがあります。
③ 聴力の問題
聞こえに問題があると、ことばのインプット自体が不十分になり、発達に影響します。発語が少ない・不明瞭な場合は、一度耳鼻科で聴力検査を受けることをお勧めします。
特に、乳幼児期に中耳炎を繰り返している子は注意が必要です。
④ 発達特性(ASD・知的発達症など)
自閉スペクトラム症(ASD)や知的発達症(知的障害)がある場合、ことばの発達がゆっくりになることがあります。
これらは「障害」というより「脳の特性」です。早めに特性を把握して、その子に合ったサポートをすることで、大きく伸びるお子さんがたくさんいます。
ことばの遅れだけでなく、「視線が合いにくい」「指さしをしない」「こだわりが強い」などのサインがある場合は、専門機関への相談を検討しましょう。
⑤ 単純な個人差(「ゆっくりさん」)
上記のどれにも当てはまらず、ただ「ことばが出るのがゆっくりなタイプ」というお子さんも一定数います。3歳を過ぎてから急激にことばが増え、小学校入学前には追いつくケースも珍しくありません。
ただし、「様子を見ていれば大丈夫」と断言できるのは、専門家が直接評価した場合のみです。心配な場合は、相談だけでも早めに動くことをお勧めします。

原因が何であれ、「早く気づいてあげられた」という事実はお子さんにとって大きなプラスです。原因探しではなく、「じゃあこれからどうするか」に目を向けていきましょう。
「様子を見てOK」vs「早めに相談すべき」STが見るサイン
これが最も多く聞かれる質問です。
「3歳健診で引っかかったけど、様子を見てと言われた」
「保育園の先生に相談してみてと言われたけど、どこに行けばいい?」
現役STの視点から、「早めに動いた方がいい」サインを具体的にお伝えします。
早めに専門機関に相談することをおすすめするサイン
以下のうち、1つでも当てはまる場合は、様子を見るよりも早めに動くことをお勧めします。
- 2歳半を過ぎても2語文(「ママ・いく」など)がまだ出ていない
- 3歳を過ぎても、語彙が極端に少ない(50語以下程度)
- 知らない人には何を言っているかほとんど伝わらない
- 名前を呼んでも振り向かないことが多い
- 指さし(要求・共感のどちらも)がほとんどない
- 大人との視線が合いにくい
- こだわりが非常に強い、パニックになりやすい
- 以前できていたことばが減った・なくなった(退行)
「もう少し様子を見てもよい」ケースの目安
一方、以下のような場合は、引き続き関わりを意識しながら経過を観察する余地があります。
- 3語文は出ていないが、2語文は出ている
- 発音は不明瞭だが、伝えようとする意欲がある
- やりとり(大人の問いかけへの応答)が成立している
- 3歳を数か月過ぎたばかり
ただし、「様子を見ましょう」は「何もしなくていい」ではありません。次のセクションの関わり方を実践しながら、1〜2か月後に変化がなければ相談を検討してください。

「様子を見て」と言われてモヤモヤしているなら、それはすでに相談するサインです。専門家への相談は「大げさ」ではありません。早めに動いて損をしたご家族は、私はまだ見たことがありません。
家庭でできる関わり方 3つのコツ|STが実践で使うアプローチ
「じゃあ、家では何をすればいい?」というパパ・ママへ。特別な道具は不要です。日常の中でできる3つのコツをお伝えします。
コツ① 子どもの視線・高さに合わせる
ことばは「顔を見ながら」育ちます。立ったまま話しかけるのではなく、子どもと同じ高さにしゃがみ、目線を合わせることを意識してみてください。
テレビを見ながら、スマホを見ながらの「ながら話しかけ」よりも、5分間でも「向き合って遊ぶ時間」の方がことばの発達に効果的です。
コツ② ことばのお手本は「子どもより少し上」を意識する
子どもが1語(「まんま」)で話しているなら、大人は2語文(「まんま、おいしいね」)でお手本を見せる。2語文が出ているなら、3語文でお手本を。
「もっとしゃべって!」「ちゃんと言って!」と急かすのは逆効果です。子どものことばをそのまま受け取り、少しだけ広げて返してあげましょう。
例①:子ども:「ワンワン」
大人:「ワンワン、いたね」「ワンワン、かわいいね」(1語→2語に広げる)
例②:子ども:「しょうぼうしゃ いっちゃった」
大人:「あかい しょうぼうしゃ いっちゃったね」(2語→3語に広げる)
コツ③ 遊びや育児の中でことばを自然に広げる
日常の遊びや生活場面が、最高のことばの練習場です。
おもちゃで遊ぶとき、「これなに?」「どっち?」と問いかけるだけでなく、大人が楽しそうにことばを発することが大切です。「あ!とれた!」「わあ、高い高い!」など、感嘆詞や擬音語も積極的に使いましょう。
ことばの発達を促すおもちゃや絵本の選び方については、こちらの記事もご参考に。

また、より詳しい「話しかけ方のコツ」については、こちらも合わせてご覧ください。
→ 言葉が遅い子への話しかけ方10のコツ(近日公開予定)

「特別な訓練をしなければ」と思わなくて大丈夫です。1日5分、視線を合わせながら一緒に遊ぶだけで、ことばの土台はしっかり育ちます。完璧にやろうとしなくて大丈夫です。続けることが一番の近道です。
相談先・支援機関の選び方|どこに行けばいい?
「相談したいけど、どこに行けばいいかわからない」という声をよく聞きます。主な相談先と、それぞれの特徴を整理しました。
相談先の種類と特徴
① 市区町村の子育て相談窓口・保健センター
まず最初に相談するなら、お住まいの市区町村の保健センターや子育て相談窓口がおすすめです。保健師さんがことばの発達、発音についても相談に乗ってくれます。必要に応じて言語聴覚士等の相談につないでくれます。費用は無料。
② かかりつけの小児科
発達に関する総合的な評価や、発達専門外来への紹介をしてもらえます。耳鼻科への紹介(聴力検査)も小児科からお願いすることができます。
③ 言語聴覚士(ST)がいる病院・療育センター・クリニック
ことばの専門家による詳しい評価と個別訓練が受けられます。病院の場合は医師の診察が必要になる場合があります。療育センターは自治体によって異なるため、まず保健センターに確認しましょう。
相談のタイミングで迷ったら
「どうしようか迷っている」という段階でも、まず保健センターや小児科に電話で相談するだけでOKです。相談したからといって、すぐに検査や療育が始まるわけではありません。
「早く相談しすぎた」ということはありません。相談のタイミングは、早ければ早いほど選択肢が広がります。

「どこに行けばいいかわからない」という理由で、相談をあきらめてしまうご家族が多いのがとても残念です。まず保健センターに電話するだけでOK。「何をすればいいか教えてください」の一言で、次のステップを案内してもらえます。
まとめ
最後に、この記事のポイントを整理します。
① 3歳のことばの発達目安を知ろう
3語文・語彙200語以上・知らない人にも通じる、などが目安。ただし個人差が大きい。
② 「早めに相談すべきサイン」を見落とさない
視線が合いにくい・退行・指さしがない・語彙が極端に少ない場合は早めに動こう。
③ 家庭では「視線を合わせる」「1段階上のことばを返す」「遊びで広げる」
特別な訓練よりも、毎日のやりとりの質が大切。
心配なことがあれば、一人で抱え込まず、ぜひ相談窓口を頼ってください。専門家への相談は、お子さんのためだけでなく、ママ・パパ自身の安心のためでもあります。
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以下の記事を読むことをオススメします。


- → 言葉が遅い子への話しかけ方10のコツ(近日公開予定)

