G-YSQ9H5F0GR ASDとことばの遅れ|特徴・家庭での関わり方を言語聴覚士が解説

ASD(自閉スペクトラム症)とことばの遅れ|特徴・家庭でできる関わり方を言語聴覚士が解説

ASD(自閉スペクトラム症)とことばの遅れ|特徴・家庭でできる関わり方を言語聴覚士が解説
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「ことばが遅くて調べたら、ASDという言葉が出てきた」「先生に自閉症の傾向があるかもと言われた」——ASDとことばの遅れの関係を、小児専門の言語聴覚士が正直に解説します。

「名前を呼んでも振り向かないことがある」「ことばが出てきたと思ったら、同じことを繰り返すばかり」「目が合いにくい気がする」——そんな気になる様子と、ことばの遅れが重なっているとき、ASD(自閉スペクトラム症)という言葉が頭をよぎる方は多いと思います。

ママ
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ことばが遅いのはASDが原因?どんな特徴があったらASDなの?

ST「こん」
ST「こん」

 ASDとことばの遅れには深い関係があります。ただし「ことばが遅い=ASD」ではありません。現場で見てきた視点から、特徴と関わり方を正直にお伝えしますね。

ASD(自閉スペクトラム症)とは?

ASD(自閉スペクトラム症)とは、脳の発達に関わる生まれつきの特性で、主に次の2つの面で特徴が現れます。

社会的なコミュニケーション・対人関係の困難:視線が合いにくい、気持ちを共有することが難しい、会話のやりとりが一方通行になりやすいなど
限定的な興味・反復行動・こだわり:特定のものへの強い興味、同じ行動を繰り返す、変化への強い抵抗感など

「スペクトラム(連続体)」という名前の通り、症状の現れ方や程度は人によって大きく異なります。知的障害を伴う場合もあれば、知的発達に問題がなく、外見上はほとんど目立たない場合もあります。有病率は約1〜2%とされており、決して珍しい状態ではありません。

また、ASDは育て方や愛情不足が原因ではありません。脳の発達に関わる特性であり、親御さんの関わり方が原因で生じるものではないことを、まず知っておいてください。

ASDとことばの遅れの関係

ASDのあるお子さんの多くに、ことばの発達の遅れや、ことばの使い方の特徴が見られます。ただし、「ASD=ことばが遅い」とは限りません。ことばの発達が早い子もいれば、2〜3歳ごろまで話さなかったのに突然多くのことばが出てくるケースもあります。

ASDのことばの特徴は、「ことばの量(発語の数)」よりも「ことばの使い方・コミュニケーションの質」に現れることが多いです。「話している」のに「伝わっていない」「かみ合っていない」という状態が、ASDのことばの困りごとの本質です。

ASDの子どもに見られることばの特徴

言語聴覚士として多くのお子さんと関わってきた中で見えてきた、ASDに多いことばの特徴をお伝えします。

話す面での特徴

語彙のレパートリーが独特
最初のことば(初語)は、一般的には「まんま」「わんわん」等であることが多いですが、特定の物の名前や文字、数字などを単語として発することがあります。また、ことばをしゃべるようになっても、「りんご」ではなく「ジョナゴールド」「シナノスイート」等の品種で話す等が見られます。

オウム返し(エコラリア)が多い
「お名前は?」と聞くと「お名前は?」と繰り返す、テレビのセリフをそのまま使うなど、聞いたことばをそのまま返す傾向があります。これは「意味がわかっていない」のではなく、ことばを処理するための一つの方法として使っていることがあります。

会話が一方通行になりやすい
自分の好きなことや興味あることは流暢に話せるのに、相手の話を受けて返すやりとりが続きにくいことがあります。「会話のキャッチボール」が苦手というイメージです。

一人称(ぼく・わたし)がなかなか定着しない
自分のことを名前で呼んだり、「あなた」と「わたし」の使い分けが難しかったりすることがあります。

独特な言い回し・大人びた表現を使う
年齢に比べて難しい言葉を使う、テレビや本からそのまま覚えたような表現を使うなど、「ことばは多いが、使い方が独特」というケースもあります。

理解する面での特徴

文字通りの解釈をしやすい
「手を貸して」を本当に手を差し出すことだと理解する、冗談や皮肉が伝わりにくいなど、ことばの表面的な意味だけを受け取る傾向があります。

複数の指示が通りにくい
「靴を脱いで、そこに置いてね」のような2段階以上の指示を同時に理解することが難しい場合があります。一つずつ伝える工夫が効果的です。

場の空気を読むことが難しい
「今は静かにする時間」「みんなが嫌がっている」といった、ことばにならない状況の意味をくみ取ることが苦手なことがあります。

コミュニケーション全般の特徴

・視線が合いにくい、または逆に合わせすぎる
・共同注意(「見て!」と一緒に何かを見て共感する)が少ない
・名前を呼んでも反応しないことがある
・自分から人に関わろうとすることが少ない

ST「こん」
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 これらの特徴がひとつあるからといってASDとは限りません。複数の特徴が組み合わさって見られる場合や、日常生活に困りごとが生じている場合に、専門家への相談を検討しましょう。

「ことばの遅れだけ」との見分け方

「ことばが遅い=ASD」ではありません。ことばの遅れにはさまざまな原因があり、ASDではなくことばの発達だけがゆっくりな「発達性言語障害(DLD)」のケースもあります。見分けるポイントをお伝えします。

指さしをするか
「あ!ワンワン!」と見つけたものを指さして親と共有しようとする行動(共同注意)があるかどうかは、重要なサインです。1歳半ごろまでに指さしが出ない場合は、早めの相談をおすすめします。

真似をするか(模倣)
大人の動作やことばをまねしようとする気持ちは、ことばの発達の重要な土台です。ASDのあるお子さんは模倣が少ない傾向がありますが、これもスペクトラムにより個人差があります。

ごっこ遊び・見立て遊びをするか
「これがお皿で、これがごはん」のように、ものを別のものに見立てて遊ぶ力は、コミュニケーション力や言語力と深くつながっています。

視線・表情のやりとりがあるか
嬉しいときに親の顔を見て笑顔を共有する、怖いときに親の顔を確認するなど、感情を視線や表情で共有しようとするかどうかがポイントです。

ただし、これらの特徴は専門家でも見分けが難しいケースがあります。「当てはまるかもしれない」と思ったら、まず専門家に相談することが大切です。

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ASDの子どもへの家庭での関わり方

ASDのあるお子さんへの関わりでは、「ことばを増やすこと」より「伝わった・わかった」という体験を積み重ねることが大切です。

ことばは短く・具体的に

「早くしないと遅れるでしょ、早く靴はいて!」ではなく、「くつ、はいて」と短く具体的に伝えましょう。長い文章や抽象的な表現よりも、シンプルなことばの方が伝わりやすいです。

見通しを伝える

「あと5分でおしまいにしようね」「次はお風呂だよ」のように、次に何が起きるかを事前に伝えることで、切り替えがスムーズになることがあります。絵や文字を使った視覚的な支援も効果的です。

興味のあることを入口にする

お子さんが強い興味を持っているものを会話の入口にすることで、やりとりが生まれやすくなります。好きなキャラクターや乗り物、食べ物など、本人が話したくなるテーマから始めましょう。

無理に目を合わせようとしない

視線を合わせることを強要すると、かえって不安を高めることがあります。目が合わなくても、一緒に同じものを見ながら話しかけるだけで十分なやりとりになります。

いつ・どこに相談すればいい?

次のようなサインがある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
・1歳半ごろまでに指さしが出ない
・名前を呼んでも振り向かないことが多い
・視線が合いにくい
・ことばが出ていたのに急に減った(退行)
・ことばより先にこだわりの強さが目立つ

ASDの診断には複数回の診察が必要で、初診ですぐに診断がつくことは多くありません。「今日は診断がつかなかった」という結果でも、経過を見ながら支援を始めることはできます。診断の前から療育や言語療法は始められるので、「診断がついてから動こう」と待たず、気になったら早めに相談しましょう。

かかりつけ医・小児科:まず最初の相談先として
市区町村の発達相談窓口:保健センターで気軽に相談できます
児童精神科・小児神経科:診断が必要な場合の専門機関、言語聴覚士につないでくれます

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よくある疑問

Q. ASDのことばは「治る」の?

ASD自体は「治る」ものではありませんが、適切な支援や関わりによってコミュニケーション力は大きく伸びます。早い時期から専門的な関わりを受けることで、日常生活での困りごとを減らし、その子らしく生きる力を育てることができます。

Q. ことばが増えてきたら大丈夫?

ことばの量が増えることは良いことですが、ASDの場合は「量」よりも「使い方・コミュニケーションの質」が大切です。ことばが増えてきた場合でも、会話のやりとりや社会的なコミュニケーションの発達を継続して見ていくことが重要です。

Q. ASDと診断されたら、どんな支援が受けられる?

診断がつくと、療育施設(児童発達支援)の利用、言語聴覚士・作業療法士による専門的なサポート、保育園・幼稚園・学校での合理的配慮など、さまざまな支援につながりやすくなります。また、診断がなくてもグレーゾーンの状態から支援を受けることは可能です。

まとめ

ASDとことばの遅れについて、大切なポイントをまとめます。
・ASDは脳の発達に関わる特性で、育て方は原因ではない
・「ASD=ことばが遅い」とは限らない。ことばの「使い方・質」に特徴が出ることが多い
・指さし・模倣・視線など、ことば以外のサインも大切な判断材料
・「ことばが遅い」だけでなく「コミュニケーションの質」も合わせて見ることが重要
・診断の前から療育や言語療法は始められる
・気になったら、まずかかりつけ医や発達相談窓口へ

「うちの子はASDかもしれない」と不安を抱えながら一人で悩まないでください。早めに専門家に相談することで、お子さんに合ったサポートの道が開けます。

ST「こん」
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 ASDのあるお子さんも、その子に合った関わりと支援で、ことばとコミュニケーションの力は確実に育ちます。一人で抱え込まず、まず相談の一歩を踏み出してみてください🌿

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管理人(こん)
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現役言語聴覚士(ST)
こんにちは。言語聴覚士(ST)の「こん」です。 1999年に言語聴覚士の資格を取得後、保健センターでの相談業務を経て、25年以上にわたり小児専門のSTとして療育・発達支援の現場で働いてきました。現在も現役STとして、ことばの発達に悩むお子さんと日々関わっています。 臨床の現場で感じることがあります。ことばがゆっくりなお子さんを持つパパ・ママが、毎日どれだけ迷いながら、心配しながら子育てをしているか、ということです。 「もっと楽しく子育てしてほしい」——そんな思いでこのブログを始めました。 25年以上の臨床経験をもとに、今日から家庭で実践できる関わり方・遊び・おもちゃ・絵本の使い方を、専門家の視点でわかりやすくお届けします。一人で悩まずに、ぜひ一緒に考えていきましょう。
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